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ヨーロッパ旅行記その1 ドイツ編

 新婚旅行でヨーロッパ鉄道旅行に出かけてから26年余の今年3月、ようやく二回目の海外旅行が実現した。
 同行者はカミさんと娘のふたりで、既に社会人となった息子はかわいそうだが置いてけぼりだ
 ただ、さすがに今回は、すべての行程を自分で組み立てるのは、時間的にも体力的にもきつい。そこで、カミさんのリクエストでドイツとスイス、娘のリクエストのパリが組み込まれた定番コースの団体旅行に申し込んだのであった。
 ということで、今回は、団体旅行の間隙を突いて少し撮り鉄をしたくらいなので、『余談』で取り上げることにしたのである。

シュタールバート駅を発車するトラム
シュタールバートを発車して踏切を渡る。シャッタースピードが上げられず、やむなく流し撮り。そのせいでぶれてしまったが、左手の明るいところが件のベーカリー。
 初日はフランクフルトに入り、ハイデルベルグへ向かう途中の町のホテルで宿泊。おまかせなので、町の名前どころか、ホテルの名前さえ頭に入っていない。
 でも、ホテルに着く直前、バスの車窓から見えたトラムらしき専用軌道だけは、しっかりチェックしていた。
 団体旅行で自由に行動できる時間帯は、早朝か深夜しかない。そこで翌朝、一人だけ5時すぎに起きて、トラムを見に行く。今さらながら、場所を調べてみると、マンハイムとを結ぶトラム5号線シュタールバート駅のあたりのようだ。
 外はまだ薄暗く、電停で待つ乗客、トラムの乗客、みなどこか寝ぼけ眼。夜明け前の独特の空気は、日本と同じだなあ、と思う。
 電停の近くで、早朝から店を開けているベーカリーがあった。自動車通勤の人たちが立ち寄ってはパンと飲み物をテイクアウトして、結構繁盛している。
 なんとなく入ってみたくなり、地元の人にまじって、コーヒーだけ買い求める。有名観光地もいいけれど、見知らぬ土地の日常にふれるのは、ことのほか楽しい。
 もう少しのんびりしたいところだが、朝食の集合時間の7時には引き上げざるを得なかったの少々残念。いや、そもそも鉄道がメインじゃないんだから、そんなことは言えたものではないが。

 朝食後、迎えにきたバスでハイデルベルグに入る。
 娘は初めての海外旅行だから、ハイデルベルグの古い町並みに大いにそそられたようだ。なにせ写真や映画などでしか見ることのできなかった重厚な建物が、目の前に並んでいるのだから。雑多な建物が並ぶ日本の風景に見慣れた目には、おとぎ話の世界のように見えてしまう。

 ハイデルベルグからは、城郭に囲まれたローテンブルグへ。ここは26年前にも来た町だ。滅多に海外旅行なんてできないのだから、別の場所とも思ったのだが、カミさんのリクエストである。今回は、努めて自分の意見は控え、カミさんと娘の意に従ったのである。
 バスを降りて、城郭をくぐろうとすると、遊んでいた地元の子どもたちに「コンニチワ」と声をかけられ、嬉しくなって「こんにちわ!」と挨拶を返す。
 町に入って、添乗員から、集合時間だけ決めるので、後は自由に回っても構わないと言われ、早速団体から外れる。ただ、勝手を知ってるつもりだったのに、26年の歳月にはあがなえない、すっかり勘が狂って、道に迷ってばかりであった。

218形ディーゼル機関車牽引客車列車
218形ディーゼル機関車に牽引されて、フュッセン駅へ入線する客車列車。
 ローテンブルグの次はバスで一気にフュッセンへ。前回とは逆のコースをたどっている。
 フュッセンのホテルで地図を確認すると、駅まで歩いても10分ほどで行けそうだ。ということで、翌朝、また早起きしてフュッセン駅へ行ってみる。
 時刻表を見ると、6時50分に到着する列車がある。この日の朝食時間も7時なので、到着後、すぐに引き返せば、なんとか間に合いそう。
 ところが、定刻を過ぎても列車がやってこない。駅で待っている人たちも、やきもきしている様子だ。
 う〜ん、どうしよう。でも、さすがに3度来ることはないだろうから、なんとしても今、撮っておきたい。じりじりしながら列車を待つ。
 結局、列車は約20分遅れでやってきた。それも気動車との予想に反して客車列車で、1等車まで連結している。ああ乗りたいなあ、という感慨にふける余裕はない。ささっと撮影して、ダッシュでホテルへ戻る。でも、当然ながら列車が遅れた分、遅刻であった。

 朝食後はノイッシュバンシュタイン城へ。季節が違うせいかも知れないが、前回はのんびりした雰囲気だったのに、今回は各国の観光客でごった返している。整理券が出され、10分おきくらいに40〜50人単位でベルトコンベアのように流れていく。城の中も、改装されたのかとても明るく、すっかり様変わりしていた。

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