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伏線は
前回の文末「無性に他の羊羹も試してみたくなる」というくだりである。
でも、撮り鉄に出かけて、満足いかずに再び出かけるということは何度もしたけど、羊羹だけのために本当にまた佐賀まで行くのか?
そこで、もう少し小城のことを調べてみた。すると、小城はホタルの名所でもあり、ちょうど今(5月下旬〜6月上旬)がシーズンだという。よし、これで決まりだ。
当日、九州新幹線久留米駅で下車してレンタカーを借りる。ちょっと待った、佐賀へ行くのになぜ久留米なのか。佐賀と言えば佐賀線。1987年に廃止されてしまったが、途中の筑後川橋梁が保存されている。これを見てから小城へ向かうことにしたのである。いや、ちょっとは鉄分を入れないともったいないという貧乏人根性である。でも、結果的にこの寄り道が後の予定を押してしまうことになる。
カーナビに従って小城を目指す。そのおかけで、どこを走っているのかよくわからんと思ったら、「高木羊羹本舗」と書かれた看板が通り過ぎた。慌ててUターンして、この日初めての羊羹を購入。応対してくれたおばちゃんは愛想が良くて話好き。昨年(2016年)の「ようかん祭り」のエピソードをおもしろおかしく話してくれた。
どこの店も、総じておばちゃんは話好きで、このあたりにも九州を感じる。
次に向かった「みつばや小城羊羹本舗」は閉まっていたので、すぐ近くにある「山田老舗」に立ち寄る。店舗名にふさわしい重厚なつくりの店に入ると、予想と違って若く見目麗しい女性店員が出迎えてくれた。とたんに今度はこちらが話好きになってあれこれ尋ねる。相変わらず節操がない。
ここで購入したのはお買い得品コーナーに並んでいた羊羹。要はアウトレットだが、コストパフォーマンスは随一と言っていいだろう。
その後は「水田羊羹本舗」へ。一番小さい羊羹を2つ買っただけなのに、とても丁寧な対応で、晩にホタルを見るという話をしたら、わざわざ表に出てきて案内してくれた。
水田羊羹本舗の隣にどんと店を構えるのは「村岡総本舗」だ。古い建物の羊羹博物館も併設され、まさに老舗という風情である。ちょっと敷居が高いなと思いながら店内に入ると、早速お茶が振る舞われる。でも、押しつけがましくはなく、とても落ち着いた感じだ。ショーケースには、いかにもという羊羹も並んでいて、最も高いもので1棹7,560円。いったいどんな味がするのだろう。
路地を少し入れば「天山」がある。店に入ると、品のいい女性が二人。でも、びっくりしたような顔でこちらを見上げる。後で調べてみるとスーパーなどへも卸しているようなので、小売りはあまりしていなかったのかも知れない。記録のためにレシートを所望すると、レジも故障中とのことで、わざわざ領収書を切ってもらう。たった180円に手間をかけてしまい、かえって申し訳ない気分。