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夏合宿の本来の目的は、「研究」なのだから、撮り鉄だけでなく、数人ずつ分担して各駅を訪ねて取材も行った。
そのうちのひとつ、内牧駅。
内牧温泉への入口ということもあってか、吹き抜けの待合室など立派なつくりの駅である。
ネットで検索してみると、嬉しいことに、この駅舎は今も健在のようだ。
通過する急行『火の山』のためにセットされたタブレット越しに、駅本屋を望む。 駅前には、内牧温泉行きのバスが停まっていた。
駅長へのインタビューなどの取材を終えて、待合室で列車を待っていると、近所のおばさんが荷物を運んできた。宅急便が普及するまでは、当たり前に見られた光景である。
受け取る駅員がくわえ煙草というのも、今では到底考えられないが、これもある意味当たり前の光景ではあった。
内牧駅での撮影で、もっとも印象に残っているのが、急行『火の山』の通過シーンである。
タブレットを受け取る瞬間を撮ろうと、ホームで構える。もちろんモータードライブのようなしゃれた装備などはないから一発勝負だ。全神経を集中して、シャッターを切る。
結果は、見事キャッチャーがひっかけた瞬間を捉えることができた。
う〜ん、タブレットキャリアがぶれてわかりにくいなあ。しつこくなるけど写真を拡大してみた。
きっと今なら漫然と連写機能を使ってしまうに違いない。ただ、そうすると往々にしてタイミングを外してしまうものだ。
この写真を見るたびに、一眼レフデビュー時の初心に帰り、シャッターを押す緊張感を持たなくちゃいけないなあ、と諭されるのである。