その1 粟生線の橋梁 地図(Google Map)を表示
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「鉄道を撮る」第15巻の「ぶらっと撮り鉄」は、新京成電鉄vs.神戸電鉄。
関西圏担当の私は、当然神戸電鉄の撮り鉄だ。その撮影のため神戸電鉄粟生線の市場から小野まで歩いたときのこと。途中の橋梁に古い銘板を見つけて、興味をそそられる。粟生線の全通が1952(昭和27)年だから、別の鉄道で使われていた橋梁に違いない。どこから移設したのか、詳しく調べてみたいと思ったものの、そのときは原稿の締切に追われていたいので撮り鉄に専念し、出稿後、改めて市場〜小野間を歩いてみたのが2012年10月のことであった。
■ A地点「小野架道橋」
二度目の探索は逆に小野からスタート。まずは小野架道橋だ。
何の変哲もない下路ガーダー橋であるが、左端に銘板が見える。
ご覧のように近寄れる場所ではないので、望遠レンズで撮影して、さらに拡大したのがこれ。
朽ち果てんばかりの劣化に写真拡大のボケが加わり、何のこっちゃという状態であるが、よく見ると、部分的に次のように読める。
○○十年
○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○E33
○○○
MA○○○○
AN○○ I.J.G STEEL ○○
P○○E
○○○
ウィキペディアで調べてみると、E33というのは、1928(昭和3)年まで使われた橋梁の荷重計算の規格(クーパー荷重)だそうで、そうなると、○○十年は、大正10年に違いない。
さらにI.J.G STEELを検索すると、ある鉄道用品店で売られていたそっくりな銘板がヒットした。そこから大胆に推測すると次のとおり。
大正十年
株式会社横河橋梁製作所製作
LIVE LOAD:COOPER'S E33
鐵道省
MATERIALS
ANGLE: I.J.G STEEL WORKS
PLATE:
RIVET:
似ているとは言え、横河橋梁製とは言いすぎかも知れないが、I.J.G STEELは間違いない。ただ、検索しても、鉄道用品店以外にヒットせず、どこのメーカーなのか、現時点では謎だ。
■ B地点「万勝寺川橋梁」
続いては万勝寺川橋梁。
3連のガーダー橋であるが、左(小野側)から中・大・小と、それぞれ高さが異なる。そのために橋脚も段差がついていて、寄せ集め感がありあり。
残念ながら、いずれのガーダーにも、いわゆるメーカーズプレートの銘板は見当たらない。その代わり、最も右側(市場側)のガーダーに「K.T.K.」と書かれた銘板がある。一瞬、頭文字のKは神戸電鉄のことかと早合点するが、こんな略号は使っていないはず。ということは、元の鉄道の橋梁の銘板を付けたまま移設したのだろうか。ではKは何を示す?九州鉄道、関西鉄道・・・?
ネットで検索してもそれらしい事項に当たらず、これも謎のままだ。