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豊肥本線立野、木次線出雲坂根とスイッチバックを続けた勢いで、今回は奥羽本線峠駅。
もっとも、ここでちゃんと撮り鉄をしたわけではない。ひとえに『峠』という駅名に惹かれて、ちょっとだけ立ち寄ったというのが本当のところだ。
奥羽本線の福島〜米沢間は、板谷峠を越えるため、赤岩、板谷、峠、大沢の4駅にわたり、スイッチバックが連続する名うての難所であった。
山形新幹線開業に先立ち、1990年にスイッチバックは廃止されてしまったが、勾配自体が緩和されたわけではないので、今でも難所であることに変わりはない。
峠駅を訪ねたのは1976年の7月。東北旅行の帰途、夜行急行で一旦福島へ出て、早朝、峠駅まで戻ったはずだ。
駅に降り立ち、スイッチバックのため推進運転でバックしていく列車を見送る。
逆光の中に、有名な『峠の力餅』の売り子の姿が浮かぶ。
峠駅は、冬季の豪雪に備え、スイッチバック部分にはスノーシェッドがあり、駅自体も雪国らしい構造であった。
ネットで画像を検索してみると、役目を終えたこのスノーシェッドも、ほとんどそのままの形で残っているようだ。
一方で、隣の本線上にあるスノーシェッドは現役で、今はそこに峠駅が移設されているという。
右奥に見える『峠駅』と大きく掲げられた駅の入口は、昔の学校の渡り廊下のような質素なつくりであった。