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駅前には、なんとも言えない風情を醸し出している建物が並んでいた。『滑川温泉』という看板から、ここがその温泉だと思っていたのだが、調べてみると、滑川温泉は、4キロほど山中に入ったところにあるそうだ。
前述のとおり、峠駅には寄り道程度のつもりだったので、まともな撮り鉄はしていない。
このEF71重連の普通列車が、唯一の走行写真なのである。
撮影場所は、駅の近くであることは間違いないが、どこなのか思い出せない。そのせいで、この列車が上りか下りかさえもわからないのだが、確か撮影後に駅まで走って、そのまま乗り込んだ覚えがあるから、上り列車だと思う。(たぶん)
駅に近いから徐行すると油断していたのか、シャッタースピードが遅く、列車がぶれてしまった。
かろうじて、先頭の機関車はEF71の13号機と読める。
こうして上り普通列車で福島へ向かう。途中、ED78の試作車である901号機牽引の下り普通列車と出会い、慌てて客車の窓から撮影。
駅名票の文字がぼけて判然としないのだが、最後の文字は「わ」と読めるので、赤岩駅か。
ED78−901の後の写真は、いきなり黒磯駅で、語呂合わせのようなEF58の58号機の付け替えシーンに飛んでいる。
そのときの記憶も残っておらず情けないのだが、峠駅からは、ずっと普通列車を乗り継いで東京へ帰ったようだ。
もちろん、土産に『峠の力餅』を携えていた。他のことは忘れてしまっても、そのことだけは、はっきり覚えている。
【1976年7月現地、2011年8月記】