松山市から、またUターンして高浜線の終点、高浜へ向かう。
この駅も、6年前に来たときに、木造の駅舎が強く印象に残った駅である。その姿は嬉しいことに今でも変わっていなかった。
駅の向かいには、道路を挟んでフェリー乗り場があり、まるでそこへアプローチするかのごとく、駅舎から長く延びた屋根付きの廊下、歩廊とでも言おうか、がいい味を出していて、旅情をそそるのである。
缶コーヒーを買って、歩廊に設けられたベンチに腰掛け、ひと休み。そうしてしみじみ駅舎を眺めていると、ツバメくらいの大きさの鳥が行き来していることに気づいた。
どうやら駅舎の屋根裏に巣をつくっているようだ。写真が小さくてわかりにくいが、くちばしに小枝のようなものをくわえている。
なんという鳥なのか、帰ってからウィキペディアで調べてみると、一番似ていたのがハクセキレイ。ただ、本来は北方の鳥だそうで、松山にいるのはちょっとおかしいか。う〜ん、自信がない。
構内奥の電留線に、同じ700系のモハ725と721が停まっていた。増結車は、古町へ回送するだけではなく、ここで切り離す運用もあるようだ。
この2両、同じ形式だけど、どこか違うかな、と見比べてみると、もともと間違い探しが苦手な私でも、すぐに台車の違いに気づいた。モハ725がFS316、モハ721はFS340を履いている。
伊予鉄道の軌間はJRと同じ1,067mm。これに対して京王が1,372mmだから、そのままでは当然走れない。台車を履き替えたのだろうが、さすがに形式までは頭に入っていないので、これまたウィキペディアで調べてみると、FS316は小田急の2220系、FS340は東武の2000系のものだそうだ。
そうか、いずれもとっくに廃車になった車両だが、こんな形見を残していたのか。
一駅戻って梅津寺へ。前に来たときは、駅前に梅津寺パークがあったのだが、今年3月に閉鎖されたそうだ。観覧車やジェットコースターなどもあって、少し場違いな感じもしたのだが、跡形もなくなってしまうと勝手なもので、淋しくもある。
隣の港山駅に向けて、少し歩くと、『秋山好古、真之兄弟銅像』と書かれた真新しい看板が目に入った。
きっと、司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』が、NHKで放映されるのに合わせて整備したに違いない。
せっかくなので、二人の銅像を見に行く。兄弟の銅像なのだから、一緒に並んでいるのかと思いきや、かなり離れていて、特に真之像は、それこそ延々と登った坂の上にあって、もう汗だく。
そんな寄り道をしつつ、港山駅に到着。島式の小さな駅であるが、ちゃんと駅員も配置された有人駅である。