今回は地図を用意しただけで、事前に何も下調べをしてきていない。行き当たりばったりの撮影である。
途中で国道から線路に近づこうと適当に脇道に入ってみると、これまた時代を逆戻りしたような光景に出くわし、思わず足を止める。
1960年頃のなんともなつかしい日産ブルーバードとトヨペットコロナが並んでいたのだ。熾烈な販売競争で、両車の頭文字をとってBC戦争とまで言われた2台が、仲良く並んでいるのが何とも憎い。
手前のベンツも相当年季が入っている。う〜ん、全部欲しい!(置き場所はないけど・・・)
その脇道が線路に行き当たった場所の小さな祠の前で下り第11列車を撮影。広角で鳥居をそれこそ「取り入」れたが、ちょっとやりすぎか。
再び国道に戻って、しばらく歩くと、鏑川沿いの紅葉した山肌の中に架線柱が見えたので、これまた脇道に入って道路橋の上から撮る。
ただ、期待に反して、列車はちらっとしか見えなかった。おわかりいただけるだろうか、写真真ん中の木々の陰に、わずかに列車が写っている。
千平駅に近づいた頃、赤いトラスの道路橋が見え、その手前に不通警告、もとい「不通渓谷」との案内板が立っている。
「とおらず渓谷」と読むそうだが、車で初めて通りかかったら、橋を渡れないのかと思わず急ブレーキをかけてしまいそうだ。
実際、とおらず渓谷と読むのはわかったはずなのに、その下の「馬山 不通」という表示を見て、「ああ、馬山方面は不通なんだ」と勘違いしてしまって、一人苦笑い。
その赤いトラス橋から渓谷を見下ろすと、結構な高さがあって、ちょっと足がすくむ。
橋からは、渓谷だけでなく上信電鉄も望め、ここで撮影することにする。
まずは広角レンズで撮ってみたが、これまた無理しすぎて列車が歪んでしまった。紅葉の色も今ひとつ。
今度は望遠レンズを取り出し、上の写真で列車の後ろの部分に少し見える紅葉を切り出す。
なんだかレンズのカタログで、焦点距離の違いを説明しているような按配である。
それにしても、2本のコンクリート柱はなんとも無粋。左側に見えるレールを組んだ架線柱なら、風景に溶け込んでくれるのだが。
トラス橋の反対側から鏑川の下流側を見ると、紅葉はこちらのほうがずっと美しい。
ただ、線路は外れてしまうので、列車をからめて撮ることができないのが、「鉄」としてはちょっと残念。