なんとなく予感はあった。半日だけの上信電鉄では飽き足らず、再び訪れてしまうことを。
しかし、それでは2006年の
くりはら高原鉄道<再訪編>と全く同じ展開ではないか。いくらなんでも、あまりに能がなさすぎる。
と、自分に言い聞かせて自制できたのは、ほんの3週間ほど。結局「鉄欲」に負けて、2007年12月某日、休暇をとって再び上信電鉄に向かったのであった。
今回の目的は、前回訪問時に古い駅舎がたくさん残っていることがわかったので、なるべく多くの駅を訪ねること。
そして、くりはら田園鉄道訪問時に記録した1日当りの歩数、26,933歩を更新することにあった。
いや、ワンパターンの行動なので、せめて記録更新という名目を付けたかっただけ・・・。
前回同様、前夜高崎に泊まり、翌朝は7:15発の第7列車でスタート。
高崎駅0番ホームの上信電鉄乗り場の電光掲示板に、発車時刻が大きく掲示されている。
運用に就いていたのは、後ろに少し見えているクハ303とデハ251のペア。
この2両、顔は全く異なり、車体の大きさも違う凸凹編成である。(下左写真がクハ303、右がデハ251)
最初に下車したのは馬庭駅。
古い駅舎があって、駅のすぐ西側で鏑川を渡るので、列車撮影にも適していそうだと前回訪問時にチェックしていたのだ。
加えて、馬庭駅の近くには吉井高校があり、通学生の姿をからめて撮れそうとも思ったのである。
というのも、前回は下仁田で通学生を何枚か撮ったが、その後は列車写真ばかりとなってしまい、なんとなく物足りなさを感じていたのである。朝の通学時間は限られるが、それだけに貴重な時間帯なのだ。
以下、馬庭駅でのスナップ写真を並べてみよう。
馬庭駅に着くと、男性と女性のおそらく嘱託の職員がふたり、改札口で待ち受けていた。早速カメラを取り出し、その改札に向かう通学生の後姿を撮る。
朝早い時間に荷物をたくさん持ってところからして、運動部系の朝練だろうか。
ふたりの職員が改札で見守る中、1000系の上り112列車が到着。
次は上下列車の交換となる。
先に元1000系のクハ1301+デハ252の上り14列車が到着。(左下)
続いて到着した下り9列車は200形。(右下)
これら3種の車両は、上信電鉄自社発注のオリジナル車両のため、すべて運転席が右側になっている。
馬庭駅の本来の改札は、右手正面にあるのだが、通学時間帯は左手の改札口が臨時に開かれるようだ。
次の列車の通学生を、その臨時改札の中から、ふたりの職員とともに出迎える。
学生にカメラを向けるのはなかなか勇気がいるが、こそこそ撮るより堂々とカメラを構えるほうがかえって怪しまれないものだ。(保証はしないが)
ただ、最近は見ず知らずの他人を撮るのはトラブルの元になることも確かで、さらにWEB上で公開するとなると、プライバシーの問題もあり、気をつけなくちゃいけないのだろう。
事務所の中には、かつて使われていたとおぼしきタブレットキャリアが掛けられていた。上信電鉄の運転席が右側なのも、このタブレットを交換しやすくするためだったのである。
気になったので、通学生のピークが過ぎたのを見計らい、入場券を購入するついでに出札口で女性職員に「なつかしいですね」と声をかけてみた。
ただ、その職員は、タブレット自体ご存じないようで、考えてみたら、ずいぶん昔のことなのだから当たり前だろう。逆にこちらから少し説明すると、
「何を飾っているのか不思議だったんですよ。お好きな方には目の毒ですね」と、見透かされたように言われてしまい、思わず吹き出してしまう。
「図星です。本当に欲しいですね」と笑顔で答えて馬庭駅を後にしたのであった。
出掛けにふと隣の待合室をのぞくと、始業時間までまだ時間があるからだろう、女子高生たちがおしゃべりに興じているのであった。