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鹿島鉄道 エピローグ
そろそろ今日の撮影も終盤戦だ。
拠点を桃浦〜八木蒔間に移し夕陽に備える。移動したのはまだ15時すぎであったが、結局ここで日没まで粘ることとなった。
というわけでここからの数枚はほとんど同じアングルである。
ここでの最初の撮影は26列車のキハ601。陽も強く、完全逆光なので露出補正をしたが、これまたちょっとやりすぎて、全体的に白く飛んでしまった。
これに懲りて露出補正を緩めて28列車はキハ432。ついでに現像ソフトで色温度を少し下げて、より夕方らしい色合いにしてみた。
フレアで車体の窓はにじんでしまったものの、その中に運転士や乗客の姿がシルエットで浮かんでいるのも悪くないと一人悦に入っている。
さあ、今日の最後はメインイベントの夕陽である。
そのとき、自転車に乗った鉄ちゃんがやってきて、これまた立派な三脚を立ててSONYの3CCDビデオカメラをセットし始めた。ちょっと気になって声をかける。
「あのォ、私はカメラで撮るので、シャッター音が入ってしまうかも知れませんが」
「いえいえ、先に来られていたんですから構いません。それにここからでは距離もあって、国道の騒音のほうが大きいので音は後で入れます」
とのこと。さすが本格的な機材を持ち込むだけのことはある。そういう彼も人当たりがよく、話をしていて気持ちがいい。どうしても鉄ちゃんというと、偏屈というイメージがあるが、気のいい奴も多いんだと思い直す。
彼はビデオカメラのファイダーでは見にくいからと、わざわざ液晶モニターを別に用意して確認していた。ちょっとのぞかせてもらうと、縦に強烈なスミアが出ている。
「実は数日前にも来たんですが、そのときは列車の遅れもあって陽が山の端にかかってしまったので、今日はちょうどいいと思ったのですが・・・」と彼が言う。
いよいよ31列車がやってきた。陽はまだ明るい、いや明るすぎる・・・。
撮影後「どうでした」とビデオカメラの彼に尋ねてみると、「いやあ大きな縦線です。数日でこんなに変わるんですね」と残念そう。
かくいうこちらも画面下方にゴーストが盛大に出ている。形がよければそれもありかも知れないが、どう見ても巨大な染みにしか見えない。
というわけで、下の写真はゴーストをカットするため無理にトリミングをしていて、余計に画像も荒れてしまった。おまけに車体も少しぶれているようだ。
その後はそのまま二人で沈む夕陽をながめる。恋人同士ならいざ知らず、鉄ちゃん同士というのも妙な構図ではある。
自転車で帰る彼を見送って、さてどうするか、もう陽は沈んでしまったが、せっかくなのでもう1本待ってみることにする。
さすがに次の32列車が来る頃は、山の稜線にわずかに光が残る程度になってしまい、とても撮影できる状況ではない。イルミネーションで飾られたKR500形の青い光が流れていくのをただ見つめていたであった。