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小湊鐵道2009
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 今年(2009年)4月も中旬に入った頃、東京出張の機会があり、ついまた小湊鐵道まで、足を伸ばしてしまった。
 桜には少し遅いかな、という懸念は当たり、朝一番に向かった上総牛久〜上総川間の桜は散り果てている。去年より周囲が荒れているのも気になったが、いずれにしてもここでの撮影はあきらめ、月崎へ。
 まずは上総牛久発の下り始発列車を飯給寄りの踏切で撮る。
 なんだ、前のページと全く同じ写真じゃないか、と言われそうだが、場所が同じなんだから当たり前と開き直るしかない。

あか、しろ、きいろ2009


上総中野折り返しの上り列車
 そのまま同じ踏切付近で、上総中野折り返しの上り始発列車を狙う。
 直前に中年の鉄ちゃんが2人やってきて、ネットからダウンロードしたという写真を見せて「この写真はここで撮ったものでしょうか」と問いかけられた。
 写っていたのは、まぎれもなく満開の桜のもと、月崎駅を発車する列車である。
「確かにここですね。ただ、残念なことに桜は散ってしまいましたが」
 そうして中年鉄ちゃんが3人、仲良く肩を並べて撮影にいそしんだのであった。

 その後は懲りもせず、小学生の通学風景を目当てに上総大久保駅へ向かう。
 やはり2〜3人の鉄ちゃんが既に待機しているが、肝心の桜はここもほとんど散ってしまっている。
「ちょっと遅かったですね」などと軽く言葉を交わしながら、養老渓谷寄りの踏切で、列車を待つ。
 その横を、白鳥小学校の小学生が数人ずつ徒歩で集団登校してゆく。
 もちろん、「おはようございます」と挨拶を交わしながら。
 私がこだわりすぎかも知れないが、その挨拶に他の鉄ちゃんが答えないのが少々残念であった。
 8時すぎ、下り第5列車がやってきた。
 ただ、踏切からホームを狙うアングルは少々厳しく、おまけに縦位置のアングルも失敗。しかたなく上下をカットし、6×6のカメラで撮ったような正方形にトリミングしてみた。

下車する小学生


小学生たち
 去年のように、小学生と走り去る列車とをからめるのはタイミングが合わず断念。
 次の上り列車も、花吹雪の中を撮ろうと駅の近くで構えるが、そういうときに限って風が吹かない。
 駅前にまわって、下車してきた小学生たちを待ち受ける。去年より人数が増えたようで、にぎやかになったのが嬉しい。
「ほら、カメラカメラ!」とひときわ背の高い男の子が、友達に声をかけて、こちらにピースサインを送ってくる。それにカメラのシャッターで答える。
 右の写真はそのときのものだが、例によって全体的に少しぼかしてある。

 このまま上総大久保で撮影を続けることにして、撮影ポイントを決め、おもむろに文庫本を取り出し、のんびり読書としゃれ込む。なにしろ次の下り列車は約2時間後だ、時間はたっぷりある。
気動車 with クマバチ
 と、ブーンと低い羽音が聞こえ、思わず首をすくめる。見ればおそらくクマバチだろう、黒い大きなハチが飛んでいる。ずっと同じところを旋回したり、ホバリングしたりして、うっとおしい。
「お願いだから他所へ行ってくれない?」とクマバチに頼んでも、聞き入れてもらえない。しかなたくこちらが折れて、少し離れてクマバチをしばし観察。
 そのクマバチは、他のクマバチだけでなく、虫や桜の花びらでさえ、近づいてくると追い払っている。蜜も取らずに律儀に巣を守る防衛隊、インターセプターなんだと感心する。
 が、それは誤解であった。家に帰ってウィキペディアで調べてみると、オスには、飛んでいる相手を追いかけて、メスかどうか確認する習性があるそうで、それが追い払っているように見えたのだ。
 ということは、片っ端に「ねえねえ彼女!」と声をかけては、「ちぇ〜、花びらか」てな感じですごすご引き返していたわけか。にわかにクマバチに親近感がわいてきた。
 さらにウィキペディアには、クマバチは温厚で人間には関心を示さないとあり、どうりでちょっかいも出されなかったんだと納得。おまけにこっちは男だしね。
 そしてやってきた下り第13列車。彼の縄張りに入ってカメラを構えると、俺も入れろとばかり画面左に飛び込んできたのであった。

葉桜越しに
 ぼつぼつ引き上げないと、午後の仕事に間に合わない。
 五井へ戻りがてら、里見駅に寄り、葉桜越しに上り列車を撮る。
 列車からは、どことなく一般人と違う雰囲気の男女グループが降り立ち、ホームで写真を撮っている。
 その中でも、黒い上着を着た大柄の男性が目立つ。あれは間違いなく『鉄子の旅』で有名なライターの横見氏だ。(あとで同氏のブログを読んだら、やはり当日小湊鐵道に出かけたとあった)
 せっかくだから挨拶を、と思ったが、仕事(には見えないくらい楽しそうであったが)の邪魔だろうから、遠慮する。
 こうして2009年の小湊鐵道の春を終えたのであった。

横見氏ご一行

【2009年4月現地、同年6月記】


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