以前アップしたとおり、樽見鉄道へは2000年ごろ、「ローカル私鉄なるほど雑学」の取材と称して何度も通ったものだ。実はその後2010〜13年にも何回か訪ねたのだが、さすがにここ数年はご無沙汰で、今年(2017年)春、久しぶりに撮り鉄に出かけた。今回はそのときの写真に加え、2010〜13年に撮影した写真を合わせてまとめてみた。
ということで、
「北条鉄道撮り歩き」ほどの枚数はないが、やはり撮影日順ではなく、撮影ポイント順に並べている。
■揖斐川橋梁(東大垣〜横屋)
かつて、朝の客車列車を撮るためによく立ち寄った場所である。
その客車列車や貨物列車が姿を消してしまった数年後の2011年末の早朝に訪ねたときのこと。定位置と言える東海道本線の旧揖斐川橋梁を転用した人道橋(揖斐川橋)で待機。夜が明け始めると、揖斐川橋梁のトラスが赤く染まり出し、その幻想的な光景に息を呑む。もちろん、それを撮らない手はない。こうして撮影した写真は、早速翌年の年賀状に使用したのであった。
この日は明け方まで雨が降っていて、撮影自体を諦めかけていたのに、まさか朝日が拝めるとは思ってもいなかった。さらに何という神の思し召しか、雨上がりの虹がかかる。これほど幸運が重なるなんて、これまで経験したことがない。興奮しながらカメラを構える。まだ虹は地平線近くにしかなかったので、あたかも列車から虹が出ているようなアングルにしたのだが、少々バランスが悪かったような気がする。その後、虹は大きく弧を描き、期待も膨らむが、次の列車が来る前に跡形もなく消えてしまった。まさに束の間の夢のようなひとときであった。
その2年あまり後の2014年2月、再び揖斐川橋梁へ。また夜明け前から出かけるが、同じ場所からでは能がないので、反対側へ回り、シルエットの列車を撮影。
後方に人道橋の揖斐川橋、そしてJR東海道本線の揖斐川橋梁のトラスが重なって見えている。
続いて橋の袂でオーソドックスなアングルながら、1900年アメリカ製の均整のとれた五連のトラス橋をすべて入れることにこだわって、広角で撮影した。
五連と言いながら、もうひとつ左手にちらっと見えているトラスは、1916年に川崎造船所(現 川崎重工業)でつくられたもので、上の逆光の写真にも少し写っているとおり、形態は全く異なる。
この日は空も澄み渡り、遠くの山まで見通せる気持ちのいい朝であった。
そこで、揖斐川の東岸から伊吹山をバックに一枚。
少し横屋側へ移動して、今度は養老山地をバックに撮影する。ここはお気に入りの場所で、何回か撮影に来ている。以前は周囲に畑が広がり、心おきなく撮影できたのだが、数年前にまさかの宅地開発で住宅が並び、さらに太陽光パネルも敷設されて落ち着かなくなってしまった。
車両は一見しておわかりのように、
旧三木鉄道ミキ300形のハイモ295−617だ。今は全面広告車として全く違う塗色に塗り替えられている。
ちなみに三木鉄道に在籍していた3両のミキ300形は、樽見鉄道以外に
ひたちなか海浜鉄道や北条鉄道に譲渡され、全車健在である。