その踏切で「またどこかで会うかもしれないけど。じゃ」と彼とはお別れ。
次は、ホームの端で咲いていたアサガオ目当てに市役所前駅へ。さしずめキハ603と花シリーズといった按配である。
と、後からやっぱり彼がやってきた。
「別れたばかりなのにまた会ったね。ここで撮るの?」
「はい」
たまたまなんだか、よほど気に入られた?んだか。
しばらくすると、鉄ちゃんがひとり、目の前の線路を歩いてゆく。う〜ん、どうにも不愉快な光景である。「こら!線路を歩くな!!」と怒鳴りたいところであったが、飲み込んでしまった。
そのかわりというのも何だが、高校生の彼に「あんな真似をしないようにね」と言うのが精一杯であった。
そうして何はともあれ、上り14列車。しゃがんだ彼の肩越しに撮ったのはさっきと同じである。
ここで再び彼とは別れ、次の紀伊御坊駅へ。駐車場から車庫がのぞけるので、今日はお休みのキテツ1と、部品取り用のキハ604をからめて撮る。
後ろから彼が来てないかな、なんて振り返ってしまうが、そこには誰もいない。話し(かける)相手がいなくなって、ちょっと淋しい。
ところで、この日、走らなかったキテツ1だが、実は6年前の2003年に訪れたときの写真があるので、ここでちょっと触れておこう。
もっとも、そのときもキハ603のつもりで、日曜日を選んできたのであるが、検査と重なったのか、キテツ1が現れてがっかりしたというのが正直なところ。
でも、今やバス車体で2軸のいわゆるレールバスは、紀州鉄道にしか残っていないはずで、キハ603とは違う意味で、希少な存在である。
ちなみにキテツ1は、もともと北条鉄道の車両であったが、今年、同じく北条鉄道からもう1両のレールバスを譲り受けている。車庫のシャッターの隙間から、ちらっと整備中のレールバスが見えたが、これが運用に就けば、いよいよキハ603は引退を迫られることになる。
話を戻して、紀伊御坊の車庫のあとは、駅近くで次の上下列車を狙う。
キハ603が1両で往復しているだけだが、路線が短い分、意外に本数が多く、うかうかしてはいられない。
下り15列車は何の因果かゴミ置場で、上り16列車はいよいよアングルに困り、道路から果樹園?越しに撮ってみたが、さすがにやりすぎ。