夕焼けや夕陽に限らず、自然現象には、一喜一憂させられる。
冬の早朝、訪れてみると、朝靄がかかって撮影には今ひとつ。ただ、見上げると上空にはぽっかり満月が浮かんでいる。もう少し月が下がってくれればいいのだが、縦位置でなんとか撮影。
雨もまた自然現象。
晴れの天気予報でやってきたのに、雨男の本領発揮で土砂降り。しばらく傘をさして撮影を続けていると、にわかに西の空が明るくなってきた。まだ雨足は強く、いわゆる狐の嫁入りの不思議な光の中を下り列車が走り去る。右上で丸く白飛びしているのは太陽ではなく、レンズに雨粒が付いてしまったからだ。コントラストを高めてごまかしてみたものの、それくらい雨風ともに強烈だったのである。
狐の嫁入りときたら、次に願う自然現象は、虹以外にない。
きょろきょろ空を見回していると、果たして南西の山裾から短いながらも太い虹が。
キターーーーーーーー!!
品のない表現で恐縮だが、そのときは、まさにそんな気分。虹はあれよあれよという間に空へ広がり、きれいなアーチに成長していく。おまけに二重の虹がかかり、息をのむほど美しい。
しかし、絶好のシチュエーションに出くわすと、かえってあたふたしてしまうのが我ながら情けないところ。
まずは虹が大きすぎて、手持ちの広角ズームでは入りきらない。とにかく下がらなきゃと、万願寺川の手前まで後ずさりするが、当然ながらそんな程度で画角はほとんど変わらない。それよりも、次の列車まで10分以上ある。それまで虹がもつかどうか・・・。
悪い予感どおり、ほどなく二重の虹は消え、残った虹も天頂部が切れかかっている。もっと田原側へ移動して、少しでも早く撮るべきだったと悔やみながら、そのまま列車を後追いで撮影。
と言ったものの、実は直前まで、比較的はっきり残っている虹の半円に絞って縦位置で構えていたのである。ちょうど写真右半分の構図だ。ただ、列車が来た瞬間、違う、やっぱり横!と、とっさに構え直したのであった。慌てたせいもあって、カメラを上に向けすぎている。時間は充分あったはずなのに、最後の最後までじたばたしたというのが落ちなのであった。
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