2016年4月始めの週末、桜にはちょっと早いかなと思いながらも北条鉄道へ。
早朝の網引駅へ行ってみると、案の定まだ2〜3分咲き。桜はあきらめ、ひとつ覚えの朝日の反射を狙う。
その日は、午前中に地元の寄り合いがあったので早々に引き上げてしまったが、やはり満開の桜を拝みたい。
でも、次の週末では手遅れになりそうで、出かけるなら平日しかない。とはいえ4月上旬は、職場の同僚はみな決算処理で忙しく働いている。そのさなかに休暇を取るのは気が引ける。
そこで折衷案?として、半日だけ休ませてもらうことにして、前日、同僚にはいかにも急用で困ったような顔で「申し訳ない、明日は所用で午後から出社するわ」と言い残す。
翌朝夜明け前、同じく網引駅に到着。始発の上り列車は5時59分で、まだ陽が昇らないことは織込み済。朝もやも想定の範囲内だ。桜はとりあえず後回しにして、もやのかかる山をバックにオーソドックスなアングルで撮影。
先週末の経験から、粟生で折り返してくるころには陽が昇ることもわかっていた。予想外だったのは、晴れてくるはずの朝もやが風に乗って流れ込んできたことだ。とたんに視界が利かなくなり、もやと言うより霧の中を朝日が射し込んでくる。見慣れた光景が一変して、別世界に放り出されたような感覚に捉われる。まさに早起きは三文の得、いや千両、万両にも値する光景なのであった。
桜はさらに後回しにして、写真101と同じ場所で下り列車を待つ。厳密に言うと、もっと列車を引き付けて光らせたかったので、少し線路側へ近づいたのと、低い姿勢で撮った写真101に対して、立って構えるなど微妙にアレンジはしている。
普段は網引駅の銀杏の木や家並み、電柱などが見渡せるのだが、霧ですべて覆い隠されている。やがてその中から2つのヘッドライトが浮かび、エンジン音とともに気動車が姿を現したのであった。
こうして、できあがった写真を並べてみると、う〜ん、あまり変わり映えがしない。現地での劇的な変化は感動的であったのだが、写真に表すのは本当に難しい。
やがて何事もなかったかのように霧が晴れる。次の下り列車は順光になるし、本命の桜だと意気込んだものの、アングルを考えすぎてお粗末な結果となり写真は没。
気を取り直して、その折り返しの上り列車をまた逆光で撮る。アクセントに桜ではなく菜の花を入れてみたが、我ながら今いちの感。
その後いったん網引を離れ、法華口駅や長駅の桜を撮って、昼前に再び舞い戻る。
築堤沿いの桜が目当てなのだが、バックが曇り空で今ひとつ映えない。一方で足元にはタンポポが広がっている。もうお察しのことだろう、写真は引き算という戒めをまたも破って、桜+タンポポの足し算をしてしまったのである。
撮り直したいのはやまやまながら、これでタイムアップ。
「どうも勝手しました」午後、何食わぬ顔で会社に出勤。
ちょっと顔を洗おうと洗面所へ行き、鏡を見て愕然。顔が赤い!まさかの日焼け・・・確かにこの日は好天であったが、まだ4月、それも半日なので油断していた。
・・・ということは、さも拠んどころなさそうなふりをして、その実撮り鉄に行ったことは、もうみんなにばれてる?
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